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2014年 第1回定例会 代表質問

 

夢みらい新風会の近藤憲治です。私は夢みらい新風会を代表して市政執行および教育行政執行について質問します。

まずはじめに平成23年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故から丸3年が過ぎました。東日本大震災で亡くなられた1万6000人もの犠牲者の方々に心より冥福を改めてお祈りするとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。

 

さて、4年任期の最終年度を迎える水谷市長ですが、東日本大震災など想定外の出来事がある中で着実な市政運営に努め、麦類乾燥調整施設の増設や網走港への小麦集出荷施設の新設、日体大特別支援学校の誘致など将来の網走の基盤となり得る事業をたて続けに実現するなど、市民の期待に応える働きぶりであると高く評価をするところであり、今後も引き続き頑張って頂きたいと思います。

さて、わが国は一昨年12月の政権交代を経て、自民党政権が復活し、経済再生、景気回復を旗印とした安倍政権が船出しました。

 

【安倍政権下での自治体運営についての考え方】

そこでまず安倍政権下における自治体経営の基本的な考え方を伺います。大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略のいわゆる3本の矢を基本方針に掲げるアベノミクスをいかに網走市の発展、活性化に取り込んでいくか。安倍首相は今国会の施政方針演説で「人口減少が進む中においても、元気な地方を創る。これは、大いなる挑戦であります」と述べ、国から地方への権限移譲や規制緩和の推進を打ち出しており、これを契機とした地方自治体側のアイデアが求められています。しかしながら、国債や借入金などの残高を合計した、いわゆる「国の借金」は2013年末時点で過去最大の1017兆9459億円に膨張。社会保障費の伸びを背景とした借金の増加になかなか歯止めがかからない現実もあり、結果として国が地方をバックアップし切れなくなるという局面も中長期的には起こりうることが予想されます。アベノミクスを地域の成長エンジンとして活かしつつ、中長期的視点に立って網走市の財政、地域経済を自立的な構造にしていく発想が自治体経営に求められると考えますが、市長のご所見をお聞かせください。

 

【網走市の財政状況に対する意識】

あわせて当市の財政についてに考え方も伺います。当市は大場脩前市長の代、平成11年度から財政健全化に取り組み、2期にわたる行政改革推進計画により市債残高を約150億円圧縮し、さらには平成15年度から24年度の10年間は市の貯金にあたる基金からの繰り入れ無しで単年度黒字決算を達成しています。

しかしながら、平成24年度決算を見ても、一般会計上の債務残高、実質公債費比率、将来負担率、いずれも最悪の状態は脱したものの今だ楽観できる状態ではないと認識しています。この市財政に対する見方は共有できているか、確認したいと思います。

 

【健康なまちづくり】

さて、こうした内外の状況を勘案した上で、水谷市長が選挙公約で掲げた「健康なまちづくり」についてお伺いします。市民、経済、まちの健康を基本方針に掲げる市政運営は少子高齢化と人口減少に直面する我が市において時宜を得た方向性であると思います。事実、「健康」をキーワードにしたまちづくりで市民生活の底上げに取り組んでいる自治体は国内に数多くあり、昨年の全国都市問題会議で「都市の健康」がテーマとなったことからも多くの地域が「健康」を切り口に地域の持続可能性を追求していることが伺えます。当市においても、健康なまちづくりという指針を多くの市民で共有し、街全体の大きなうねりにしていくことが大切であります。健康なまちづくりの先に何があるか?何を目指すか?を示していくことが網走のエネルギーの源泉になるはずです。議会において多くの議員の皆さん、理事者の皆さんの発言を聞けば、様々な課題はあるが、健康なまちづくりを旗印に、網走という皆さんにとっての故郷を守っていこう、この土地で生き抜いていこうという共通の思いを感じます。そこで健康なまちづくりの先に見据える故郷、網走の姿を伺います。

 

【コンパクトシティ】

健康なまちづくりに関わる点でもうひとつ、人口減少に直面する当市の街の機能維持のためのコンパクトシティ化について伺います。網走市の現在の人口規模38000人は昭和27年当時の水準です。現在の人口規模と年齢構成に見合った都市機能の整備を考えた上での網走市での方向性は。「歩いて暮らせる」を前提とすれば公共交通の維持確保も重要。そのあたりの考え方は。

 

【北方領土問題の解決に向けた動きと網走市の戦略的対応】

次に北方領土問題の今後の展開に関連して伺います。安倍総理は国会など公式の場で北方領土問題の任期中の解決に強い意欲を示しています。何らかの形で北方領土問題が解決に向けて動き出せば、北海道側でどの地域が人やモノ、情報の拠点として機能するか、という点も重要になってきます。根室や釧路などの動きもありますが、港湾、空港、高速道路、鉄道など物流インフラの整備なども含めて網走市としても戦略的な対応が必要だと考えます。地政学的に見た際の北方領土との距離感など網走の優位性もあります。市としての考え方を伺います。

 

【一次産業の中長期的ビジョン】

続いて、農業と漁業、一次産業の活況を次の時代にも受け継いでいこうという視点から質問します。現在、TPPをめぐる議論が進んでいます。例外なき関税撤廃につながるTPPには反対ですが、グローバル化が加速度的に進む世界経済の現状を見れば、関税障壁はまさに千変万化がであり、いつどのような状態になるかを一国の意思だけで決めかねる状況もあります。だからこそ、世界の中で生き残ることのできる強い一次産業の構築をタブーなく進めていく視点こそが、現在の網走の一次産業の活況を次世代につないでいくことになると考えます。網走の一次産業が世界の中で存在感を発揮していくための将来的な方向性について市としてどう考えているか伺います。

 

【クジラ漁と捕鯨文化】

次に漁業に関して、クジラについて伺います。捕鯨文化は当市において地域固有のアイデンティティであり、オホーツク海側でのミンククジラ調査捕鯨の具体化も視野に入れつつクジラの街としてのブランド構築も進めていくべきだと考えます。クジラは貴重な動物性タンパク源として食料不足に直面する世界の中で必要性が高まる可能性もあります。また、網走での流通、消費が広がれば食にスポットを当てた観光施策にもつながります。捕鯨文化を核にした施策の展開を将来的に見据えた種まきを期待したいがいかがでしょうか。

 

【観光全般に関して】

続いて観光について伺います。現在の網走の観光は極めて厳しい状況にあります。平成24年度の入り込み数は136万7700人で東日本大震災前の水準に戻ったと言われています。しかしながら、訪日外国人観光客が昨年1000万人を突破したことからもわかるように、日本各地の観光地は既に観光客数が震災前の水準を超え増加傾向に入り始めており、網走市の観光の現状は残念ながらその流れには乗り切れていません。そのような状況下で市として様々なトライを重ねている点については評価したい。サイクリングなどのスポーツツーリズムや食にスポットを当てた取り組みも網走の強みを活かせると考えます。ただし、満足度50パーセントの素材をどれだけ寄せ集めても100パーセントにはならないと言われるように効果的な素材をしっかりと育てていけるかが鍵を握っています。まず、網走経済の3本柱のひとつとして言われて久しい観光の現状認識ついて伺います。観光地としての網走は、世界の観光地、国内各地の観光地と比較してどのような強みと弱みがあり、どこに力を注いで、どこを目指していくべきとお考えか。併せて、観光の振興を中心とした地域経済の活性化こそが現在、市役所に課せられた大きな使命であると考えるが、その意識は共有できているか伺います。

 

【オホーツク流氷館と天都山展望台】

天都山展望台とオホーツク流氷館の建て替えは網走観光復活の起爆剤にしなければなりません。集客力と収益性を兼ね備えた施設とする気概を持って臨んでいただきたい。併せて流氷館単独の施設としてではなく観光施設や飲食店が点在する天都山をエリアで売る考え方を持つべきであり、連携の機運醸成を望みます。点を面にして天都山で1日以上遊べる仕掛けを作れば網走での宿泊の動機付けになると考えますがいかがでしょうか。

 

【外国人観光客誘致戦略】

次に網走でも存在感を増しつつあるインバウンドの誘致戦略を伺います。国は2020年までに訪日外国人観光客を2000万人まで増やす目標を掲げています。この動きをエネルギーとして網走市もインバウンドの取り込みに力を入れていかなければなりません。既存の台湾、香港に加え、視点を東南アジアに広げる考え方は賛成です。一方で台湾、香港に加え、首都圏や関西圏で復調している韓国、中国の既存のインバウンドをどう取り込むかも忘れてはならないと思います。国別、地域別の誘客に向けた傾向と対策は。

 

【女満別空港発着路線の機体サイズ】

観光および生活面で網走への足の確保についても伺います。羽田ー女満別の機材は需要と航空会社の判断で変化している。JALで言えば常にボーイング767クラスで運航することが提供座席数も多く、観光客の動きに直結する。通年で767クラスでの運航を実現するための方策が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 

【JR北海道の再生、復活に向けて】

観光と生活の足に関連してJR北海道の危機的状況についての考え方を伺います。事故、不祥事の続発は、民間企業内部の問題であるが、公共交通を担う機能からすれば社会的な影響も大きく、JRに対して批判の声があがるのも当然です。一方で地域の生活の足、観光素材として地域と歩んできた歴史もある。沿線の自治体として一面的な批判だけでなく、JR北海道の再生、復活に向けた有形無形の働きかけも中長期的に必要だと考えます。市としてのスタンスを伺います。

 

【商店街の観光利用】

次に地域経済のバロメーターのひとつでもある。商店街の振興について伺います。網走の歴史と文化を伝える機能を強化し、これまでのまちなか居住とイベント開催に加え、観光エリアとしての役割を強化していくべきだと考えます。駒場の大規模商業地域との住み分けで、網走の顔のひとつとして育てるという考え方を持つべきだと思います。商店主の世代交代もあり、危機感の共有とともに意識も変わりつつあります。今が次のステップへの契機。市の積極的な関与を望むところでありますが、お考えをお聞かせください。

 

【将来的な労働力確保】

労政関連では少子高齢化社会における労働力の確保のついてどう考えるか伺います。企業誘致をするにしても働き手が足りなければ絵に描いた餅であります。農大卒業生の網走定着や外国人労働者の移入などシナリオは幾つか描けそうですが、労働力の確保についての将来的な考え方をお示しください。

 

【汚泥処理消化ガスの再利用研究の将来見通し】

環境分野では26年度予算案の汚泥処理消化ガスの再利用研究の目指すところについて伺います。再利用時にさらに副次的に利活用できる要素もあるかと考えますが、この事業の中長期的な広がりについて現段階ではどうお考えか、伺います。

 

【高齢者の活躍の場づくり】

高齢者福祉に関連して高齢者の活躍の場づくりについて伺います。多くのお年寄りが現役時代に蓄積した知恵やノウハウを今後のまちづくりに活かして頂くためにも高齢者のライフスタイルを観察し、地域の担い手としての場を創出してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

 

【養護老人ホーム静湖園の将来像】

市の養護老人ホーム静湖園について市の財政状況やサービス内容の変化を勘案した上での運営の在り方を抜本的に見直す時期が近づいてきていると考えますが、静湖園の将来的な方向性について現段階での考え方を伺います。

 

【地域の学力水準に対する危機感】

続いて教育分野の質問に移ります。網走の児童生徒の基礎学力に対する認識と次世代のまちづくりを担う人材としての子どもたちの教育の重要性について市としてどのように受け止めておられるか、学力水準の低下が中長期的な地域の活力の低下につながるという危機感を共有できているか伺います。

 

【市内小中学校の設置数の将来見通し】

併せて、人口の推移と既存小中学校の設置数について、児童数や教育環境を勘案し、将来的にはさらなる統廃合も検討する必要があるように思えるが、現段階での考え方を伺います。

 

【国際スポーツイベントに合わせた選手の合宿誘致】

最後にスポーツ振興に関連して2020年の東京オリンピック、2019年のラグビーW杯に加え、2018年の韓国平昌冬季オリンピックを契機として選手のキャンプ誘致などでスポーツを通じた健康なまちづくりの起爆剤とすべきだと考えます。市のビジョンをお示しください。

 

 

 

以上、縷々質問いたしましたが、人口減少、少子高齢化、若年層の流出など我が国の地方自治体が抱える課題は共通であります。地域の産業基盤や医療福祉体制を強化し、雇用の場と税収を確保して地域社会の持続可能性を追求しいこうという取り組みはまさに日本全国津々浦々で行われています。そのなかにおいては行政機関の努力だけでなく、まさに今、自治体議会にも独自の取り組みが求められています。既存の行政のチェックという機能だけにとらわれず、議会が網走の未来を見据えたまちづくりの知恵やアイデアの源泉となるよう、二元代表制の一翼を担っているとの自覚をもった活動を展開していくことをお誓いして、夢みらい新風会を代表しての質問を終わります。

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