2014年 第1回定例会 代表質問に対する答弁
夢みらい新風会・近藤議員のご質問にお答えをいたします。
はじめに、安倍政権の経済政策「アベノミクス」についてでありますが、この効果により、経済指標の改善が見られるほか、景気の回復基調を受け、国では法人税の増収が見込まれているほか、政令市の平成26年度予算につきましても、全ての市で地方税の増収が見込まれているところであります。今後、経済の好循環により、更なる景気回復の実感と裾野の広がりに期待をしているところであります。一方、地方では、景気回復を実感するまでには、至らない状況にあると認識しております。地方にとりましては、依然として厳しい状況ですが、当市におきましては、「アベノミクス」の第二の矢である財政政策を活用した網走港の小麦船積みセンターが完成いたしますので、農作物・物流拠点としての地位を確立し、物流コストの軽減や農産物の高品質化に大きく貢献するものと期待をしております。また、平成26年度には、同じく国の財政政策を活用した、市民健康プールと天都山展望台・オホーツク流氷館の整備に着手いたしますので、この二つの施設は、今後、網走の、市民の健康づくりと地域活性化を図る拠点として、大いに活用してまいりたいと考えております。議員ご指摘のとおり、これまでと同様にこうした契機を逃すことなく、網走が持つ、潜在能力を最大限引き出す施策を展開しながら、引き続き地域の活性化を図り、中長期的な視点に立って、地域経済を強固なものにして行きたいと考えております。
次に、当市の財政状況についてでありますが、平成24年度の決算となりますが、実質公債費・比率が、17.3%、将来負担・比率が、164.9%となっており、徐々に改善をしている状況ですが、道内各市と比較いたしましても極めて高い数値となっている状況ですので、最悪の状態は脱したものの、いまだ楽観できる状態ではないとの議員の認識と、見方を同じくするものであります。
経済・市民・まちという視点の中に、健康というキーワードを置いて、市政運営を行ってまいりました。特に、健康なまちという視点からは、自治体における財政の健全化を求め、健康な経済からは地域の活力を創造し、そして、そのベースとなるところは市民自らの健康であるという考えのもと、健康で安心なまちづくりを基本としたところであります。昨年の日本経済新聞の5月30日付には、日経健活プロジェクトなる広告が出され、健康は経済だとの標語のもと、長寿の国日本は世界に先んじて少子高齢化社会の道を歩んでおり、人口構成の変化と労働力人口の減少の中、現役世代と引退後の豊かな時間をいかに健康に過ごしていくかというプロジェクトが始動したことが掲載されておりました。
また、昨年、大分市で開催された第75回全国都市問題会議の開催テーマは「都市の健康・人・まち、・社会の健康づくり」がテーマとなり全国から自治体関係者が参集し、2日間にわたり議論が行われました。その際、網走市は全国の研究事例として、当日配布された紀要論文集に採用され、掲載されたところでもあります。その研究事例においては、「健康・スポーツ都市網走を世界に発信」と題して、現在取り組んでいる個別具体事例を寄稿したところであります。このことについて、健康をキーワードとして網走市が取り組んでいる事例が紹介されることは、その方向感は日本全国が求めている視点なのだろうと感じております。豊かなオホーツクに活気みなぎるまち網走は、網走市総合計画のなかで基本テーマとして掲げられているところですが、活気みなぎるまち網走の創造のために、まち・経済・市民の健康が成就していくことであると考えております。
いずれにいたしましても、市政執行方針に基づき、各産業の振興には攻めの姿勢で地域経済の活性化を図り、また、日本を取り巻く国際情勢に十分着目をしてまちづくりの方向感を出し、健康な経済・健康な市民・健康なまちの推進に向け取り組んでまいりたいと考えております。
次に、コンパクトシティ化についてでありますが、当市においては、昭和40年代から居住地の郊外化が加速し、全国的にみられるような「広域分散型」の都市構造が進展し、主な移動手段として自家用車が利用されている状況にあります。一方、人口減少・高齢化が進む中、都市の拡大に伴って増加した社会インフラの老朽化や、買い物弱者、医療弱者の増加、モビリティ社会進展による環境負荷の増大など、まちづくりを進めるうえでの様々な問題点が顕在化してきております。このような社会経済情勢の変化を受け、高齢者が暮らしやすいまちづくり、環境負荷の少ない低炭素型のまちづくり、都市経営コストの効率化などが求められており、持続可能なまちづくりの方向性として、集約型都市構造、いわゆるコンパクトシティへの転換が課題であると考えております。当市では、現在、都市づくりの指針となる「都市マスタープラン」の見直しを検討しており、「集約型都市構造への転換」という方向性を踏まえ、本年度から見直し作業の準備を進めてまいります。また、公共交通に関しては、市民ニーズや移動特性、交通需要に的確に対応しながら、効率的かつ市民のライフスタイルに即した公共交通体系を、まちづくりと連携して構築していかなければなりません。そうしたことから、市街地における公共交通空白地域の解消のため、コミュニティバス西山通線及びデマンド・タクシー二ツ岩線の実証試験運行に取り組み、昨年10月から本格運行へ移行したところであります。今後も公共交通の利便性向上と利用促進を図り、持続可能な公共交通の維持・確保に取り組んでまいります。
次に、北方領土問題についてでありますが、北方領土は日本固有の領土であり、その早期返還は国民の悲願であります。北方領土問題解決のためには、ロシアとの外交交渉を粘り強く継続していく必要がありますが、この交渉を後押しする最大の力は、返還を求める一致した国民の世論と考えております。このような国民世論の啓発のために、官民の様々な主体による返還要求運動が展開されており、市内においても、青年会議所や元島民で組織する市民団体が、署名活動や講演会の開催などに、精力的に取り組まれております。また、市としても、領土問題解決に向けた環境整備として、両国民の相互理解と交流を目的とした「ビザなし交流」の受け入れを、昨年も行ってきたところであります。北方領土返還要求運動が始まってから、65年以上が経過した現在、領土返還に向けて安倍総理は、2月10日の衆議院予算委員会で、「北方領土の帰属問題を解決して平和条約を締結するという最終的な結果を得て、歴史的な使命を果たす。」と、在任中の解決に向けた意欲を表明いたしました。このことは、北方領土に隣接する網走市として、領土問題解決に向け大きな期待をもっているところです。このことから、今後の外交交渉を十分に注視するとともに、網走市及びオホーツク圏域において、北方領土を含めたロシアとのかかわり方について、広く関係機関や有識者などと研究してまいりたいと考えております。
次に一次産業についてでありますが、TPP、EPA,FTA交渉など経済のグローバル化が進む中において、一次産業の振興を進めていくためには、生産基盤の整備、流通体制の強化、そして消費者からの支持が必要であると考えています。
漁業につきましては、昨年、北海道のホタテ漁業が、持続可能で適切に管理された漁業の基準を満たすとして、MSCの認証を取得したことは、オホーツク海で始まったホタテ漁業が非常に高いレベルで資源管理をおこなってきたことを世界中の消費者にお伝えすることができました。また、網走沖のホタテが、EUハサップという非常に厳しい審査基準を満たし、対EU輸出が可能となったことは記憶に新しいところであります。こうした取り組みを支援していくことが、国際的にも競争力のある、質の高い製品づくりにつながるものと考えております。
農業につきましても、食の安全・安心を確保するためトレーサビリティのはっきりした小麦や遺伝子組み換えではない大豆など安全・安心な農産物を生産し、消費者や実需者へ供給していく取り組みが必要であると考えております。そうした取り組みを行うことにより、網走ブランドの知名度を高め、他の地域との差別化を図ることで、産地間競争力をつけ、存在感を発揮していくことが網走の一次産業の今後の方向性であると考えております。
次に捕鯨文化を核とした施策の展開についてですが、網走は、ご承知のとおり大正時代から商業捕鯨をおこなっており、北海道で唯一捕鯨船を持つ捕鯨基地であります。市ではこれまで、市内小学校でのクジラ給食の実施や、道内、道外での各種イベントでミンククジラ肉を配布するなどし、鯨の食文化の普及に取り組んできたところです。また、平成24年度からは韓国蔚山広域市南区と鯨を縁とした交流も始まり、市民レベルでの活発な動きも生まれてきておりますので、今後は、全国的な規模のフォーラムを網走で開催することなどを検討し、将来的にはオホーツク海沖の調査捕鯨の実現に期待をしているところであります。
次に、観光についてですが、網走の観光客入込については、平成4年度をピークに減少傾向にありましたが、東日本大震災が発生した、平成23年度に底を打ち、昨年度におきましては、概ね震災以前のレベルまでに、回復した状況となっております。本年度におきましては、網走を訪れる外国人観光客は、円安の影響から増加している状況にありますが、国内観光客は、「アベノミクス」により、国内経済が回復した状況と言われるなか、残念ながら道東地域や当市における観光客入込は、大幅な回復に至っておらず、全体的には、昨年並みであると認識をしているところであります。こうした中で、網走の観光は、自然に恵まれた美しい景観や流氷、さらにはその雄大な自然から育まれる食が最大の魅力であり、強みでもあるところですが、その魅力をうまく活用し、宿泊に繋げることが課題となっております。網走観光の推進に当たっては、食を中心にしながら、景観、歴史、文化などすべての資源を、トータル的に活用しながら「おいしいさ」というもののブランド化に力を注ぎ、感じてみたい、行ってみたい、そして滞在してみたいまち「網走」を目指し、滞在時間の延長及び交流人口の拡大を図りたいと考えております。また、観光推進体制については、現在策定中の観光振興計画において、オール網走体制による推進を目指すこととしておりますことから、市の各セクションはもとより、各団体との意識共有と連携強化を図りながら、一体的な観光政策を実施して参りたいと考えております。
次に、天都山展望台と流氷館の建て替えについてでありますが、新施設については、網走観光の中核を担う施設であり、また、天都山エリアの中心的な存在となる施設にならなければならないと考えております。天都山エリアには、道立オホーツク公園、北方民族博物館、博物館・網走監獄のほかに、はな・てんとやフロックス公園などの花畑や、民間による魅力ある飲食店が点在をしています。また、現在、道立オホーツク公園も、北海道による再整備が行われており、屋外の大型遊具施設の新設や、室内遊戯場の増築、クロスカントリーコースの延長などが計画されていると伺っております。このような中、天都山周辺に存在する各施設との機能分担と連携をはかりながら、天都山をエリアとしてとらえ、魅力を高めていくことが、天都山エリアでの滞在時間の延長につながるばかりではなく、網走での宿泊の動機づけになると考えております。これらの取り組みを進めていくためには、官民や施設の種類を問わず、エリアの連携と、意識の醸成を図る取り組みが必要と考えるので、関係者と十分に協議しながら、方向性を見い出して行きたいと考えております。
次に、インバウンド誘致戦略についてですが、網走における平成25年度上期の外国人観光客宿泊数は、約9千人で、対前年同期比で約13%の増加となっております。外国人観光客の中心は、台湾・香港であり、今後も継続的な送客を確保するため、観光プロモーション等を行うとともに、新たな観光客の誘客を図るため、平成25年度より取り組んでいるサイクリング観光などについても、積極的に推進して参りたいと考えております。また、網走への観光客が増加してきている東南アジアについては、平成25年度において、タイにおける旅行博やプロモーションに参加してきており、その時の連携もあることから、国際チャーター便の誘致も含め、引き続きタイをターゲットとしたプロモーション等について、実施して参りたいと考えております。東日本大震災以降、網走への観光客の回復が遅れている中国・韓国についてでありますが、中国においては、個人観光客を中心に回復の傾向があり、韓国についても若干の回復傾向にあることから、国際情勢や送客状況を注視しながら、対応して参りたいと考えております。
次に、航空路線の確保についてですが、道内各地域において、新幹線開通や高速道路の延伸等により、交通網が整備されるなか、オホーツク地域の観光客を増加させていくためには、当地域の主要交通網である航空路線の確保・増大は極めて大きな課題であると認識をしております。羽田空港や関西空港と女満別空港の航空路線は、近年、利用者減から、航空機材の小型化や航空路線の休止が図られてきましたが、地域の要望活動もあり、一部期間限定で機材の大型化や路線の再開が図られてきたところであります。こうしたなか、通年で機材の大型化を確保・航空機の路線維持を図るためには、年間を通して、一定の搭乗率を確保することが求められるところであります。そのためには、観光形態の個人化が進展する中、これまで以上に、女満別空港が、オホーツク地域の玄関口であることを、全国の観光客にしっかりPRすることも必要であると考えており、新年度においては、定住自立圏協定を結んでいる大空町と、施策の連携を行い、当市では、女満別空港のアピールと、市内宿泊の促進を図る女満別空港利用促進事業に取り組むこととしております。また、閑散期における航空機利用者の増大を図るため、「食の旬まつりキャンペーン」や大曲湖畔園地での「ひまわり畑ライトアップ事業」を、継続的に実施するとともに、新たに、食を活用した着地型観光の商品造成などにも取り組んでまいります。このほか、外国人観光客の誘客についても、国際チャーター便の誘致を目指す一方で、国内乗継便の利用喚起についても取り組みながら、女満別空港の利用促進を図って参りたいと考えております。
次に、JR北海道についてでありますが、JR北海道は、平成23年の石勝線・特急脱線炎上事故をはじめとする一連の事故やレールの検査データ改ざんなど、続発する事故や不祥事により、本年1月に国から事業改善命令及び監督命令などの行政処分を受けるなど、憂慮に堪えない状況にあります。市といたしましては、JR北海道に対して鉄道事業者として不可欠な、安全・安心な輸送体制の確立を求めてまいりたいと考えております。また、鉄道は、通勤・通学、通院などの日常生活、出張や旅行など、地域住民の交通手段として、また、観光客にとりましては、飛行機やバスなどと並び、移動手段の一つとして、大変重要な役割を果たしていると認識をしているところです。これまでも、市として、沿線自治体や関係機関などで構成する「釧網本線利活用推進協議会」に参画し、陳情やイベント誘致活動などを通して、鉄道の利用促進に向けた取り組みを行っているほか、利用者の利便性向上を図るため、JR石北本線の高速化について、オホーツク圏活性化期成会を通して、道や関係機関に対し要望活動を行ってまいりました。今後も引き続きこうした活動を行うとともに、地域住民や観光客の移動手段の確保を図る観点から、鉄道の利用促進について沿線自治体に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
次に、商店街の振興についてでありますが、中心市街地は、住民の生活に密着した市民や観光客が気軽に立ち寄れる店舗の雰囲気づくりや、文化・歴史が感じられ、歩いて楽しいまちづくり、人と人のつながりを大切にした商店街づくりを進めていくべきであると考えており、また、中心商店街については、郊外型商業施設との差別化を図った、独自の商店街づくりを目指すことが大切であります。平成21年4月にラルズが閉店して5年が経過しようとしていますが、この間、市と関係団体で構成する連絡会議において、対応を協議してきたところでありますが、営業再開は極めて厳しい状況にあります。また、ビルの老朽化に伴う防犯上や景観上などの問題もあり、現状のままではいけないとの認識に立っております。こうした中、平成26年度においては、中心市街地への誘客や賑わいの創出を図るため、中心市街地の魅力ある情報を発信する「かわら版・あばなび」発行に対する支援を行うとともに、現在、商店街の若手経営者が中心となって作成を進めています「商店街活性化計画」を踏まえて、中心市街地の活性化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、労働力の確保についてでありますが、地域経済の活性化を図るためには、少子化や労働力人口の減少への対応や、若者の地元への雇用定着を図っていくことが大変重要であり、課題であると考えております。市としましては、これまで、網走商工会議所や網走公共職業安定所と連携して開催する「合同企業説明会」をはじめ、雇用の創出に資することを目的とした、各種支援事業や企業誘致などの取り組みを行ってまいりました。こうした中、水産物や食肉処理などの食品製造業では、高校新卒者などの若年層の新規就労が進まず、求人と求職にミスマッチが生じており、従業員の高齢化に伴う技術者の後継者不足や、将来的な労働力不足が懸念されています。現在、市内の食品製造業では、我が国の国際協力・国際貢献の一つとして、技能実習生への技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的とした「外国人技能実習制度」により、96名の外国人技能実習生を受入れており、労働力としても大変重要な存在となっております。現行の外国人技能実習制度では、新規の技能実習生の受入れ枠が制限されており、今後、懸念される労働力不足を補完する上からも、外国人技能実習生の需要がさらに高まることが予想されます。こうしたことから、実習生・受入れ枠の拡大や在留期間の延長、職種の拡大など、制度運用の緩和に向けて、積極的に国に働きかけていくとともに、国や道などと連携し、若年者・女性・高齢者など、働く意欲を持つ多様な働き手の就業を支援していく考えであります。
次に、汚泥処理消化ガスの再利用研究についてでありますが、近年、温室効果ガスの排出量削減による地球環境の保全と、環境負荷の少ない再生可能エネルギーの導入促進が求められている中、その普及拡大を目的とし、平成24年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしております。当市においても、メガソーラー発電を能取工業団地及び潮見公有地に誘致するなど、再生可能エネルギーの導入促進について、積極的に取り組んでいるところであります。このような中、下水道汚泥の減量化の過程において発生するメタンを主成分とする消化ガスに着目し、現在、その一部は汚泥の加温燃料として再利用しておりますが、環境保全の観点と、新たなエネルギーの再利用を図る観点から、消化ガスの成分分析等を行い、発電の可能性を検討いたします。また、発電時の発生熱についても、有効・有益な利用方法の検討を行い、現在行っている堆肥化と併せて、引き続き、下水道汚泥の有効利用を図っていきたいと考えております。
次に、高齢者の活躍の場づくりについてでありますが、現在、多くの高齢者が、老人クラブを始め、町内会や各種のボランティア活動、各種行事への参加など、地域の様々な活動における、重要な担い手として活躍をされております。市内13か所の「高齢者ふれあいの家」は、地域の高齢者を中心としたボランティア団体が運営しておりますが、この事業が高く評価され、平成24年度から国立社会保障・人口問題研究所におきまして、ふれあいの家の機能と効果について調査、研究が行われているところであります。また、高齢者を中心としたNPO法人におきましては、「フロックス公園」を整備され、現在、多くの市民や観光客が訪れる花の名所となっており、このように、高齢者が地域社会で活躍されることは、高齢者自身の生きがいづくりと同時に、地域の活性化を図る上でも、大きな力となりますことから、地域の財産として、その知恵やノウハウなどを活かすまちづくりが、今後、益々重要になると考えております。このようなことから、既存の取組の継続はもとより、今後、高齢者を含めまして、広く市民の声をお聞きするとともに、関係機関や団体と連携し、高齢者が地域社会で活躍するための基盤づくりを拡充し、高齢者の知恵や経験などを活かすまちづくりを推進していきたいと考えております。
次に、養護老人ホーム静湖園についてでありますが、静湖園につきましては、昭和44年4月の開設以来45年を経過しており、施設や設備の修繕や改修工事等を行いながら入園者の生活に支障がないように管理・運営を行っているところでありますが、施設・設備が相当老朽化していますことから、現在、建替えの検討をしているところであります。検討にあたりましては、当市の介護福祉施設など高齢者の住まいの状況を踏まえ、低所得者の福祉施設として養護老人ホームを継続することと考えております。新たな施設につきましては、介護保険制度改正により特別養護老人ホームの入居基準が要介護3以上と、なるなどの社会情勢の変化もありますことから、軽度の介護認定者が入居可能な特定施設とするなど、市民や利用者、関係機関などの意見を聞きながら執り進めるとともに、管理・運営につきましては、第3次行政改革推進計画でお示しをしております、民営化を検討する施設として検討していきたいと考えております。
【以下、木目澤教育長の答弁です】
教育委員会の関係についてお答えします。始めに、網走市の児童・生徒の基礎学力についてでありますが、平成19年から実施されております全国学力・学習状況調査の結果につきましては、これまでも議会答弁してまいりましたとおり、調査開始時に比べ向上してはおりますが、未だ全国平均まで到達していないのが実態であります。基礎学力の定着と応用力に課題が見られ、特に下位層の子どもたちの学力をいかに上げていくかが課題であると認識しており、子どもたちの学力については、議員ご指摘とおり、市教委としては危機感を持ち、学力向上を最優先の課題としてとらえております。これまでの学力向上の取組みとしましては、教員の指導力を向上する観点から、各学校での公開研究会の実施、各種研究会や研修会への積極的な参加要請、北海道教育庁指導主事の活用、長期休業中や放課後の学習サポート、TT(ティーム・ティーチング)の活用による習熟度別少人数指導やチャレンジテストの活用などであります。さらに、平成24年度には「網走市学力向上推進委員会」を立ち上げ、学校と網走市教育委員会が一体となって、子どもたちの学力向上に向けた様々な取り組みを進めてまいりました。当委員会における取り組みでありますが、すべての学校における家庭学習の手引作成と保護者への配布、また今年度は、全学年に生活習慣のアンケートを実施したところ、すべての学年において家庭学習の時間が少なく、テレビなどの視聴時間が多いことを把握したところであり、また、小学校、中学校、高等学校、大学の連携を一つのキーワードとして、この2月に学力向上フォーラムも開催したところであります。新年度は、教員の授業力の向上に向けた合同研修会の開催、市内版家庭学習の手引の作成などに取り組むことで考えております。
次に、小中学校の設置数についてでありますが、現在は小学校が9校、中学校が6校で小中学校数は15校、このうち小中併置校が1校という状況にあります。児童生徒数の推移について見ますと、平成20年度から平成25年度までの5年間に小学校では210人、中学校では109人、合計319人が減少しましたが、推計ではありますが平成30年度までの今後5年間では大幅な児童数の減少は見られないと考えているところであります。しかしながら、少子化の進展に伴う児童生徒数の減少は確実に進み、これに伴う学校の小規模化が進行することから、児童生徒への教育効果、通学距離などの児童生徒の負担、学校運営のあり方など、教育環境等への様々な影響も勘案しながら、将来的な学校統廃合も視野に入れた小中学校の適正規模について検討しなければならない時期にきていると考えております。
次に、オリンピック選手のキャンプ誘致についてでありますが、北のスポーツ基地として、長年合宿事業を行ってきた当市としましては、市民スポーツの振興はもとより、地域経済への影響は計り知れないものがあり、ぜひとも合宿誘致を実現しなければならないと考えております。そのためには、今までの経験を生かした情報収集、そして受け入れに必要な環境整備が重要であると考えておりまして、26年度におきましては、サッカー場2面の芝生の張り替えをはじめ、トレーニングルームなど、各スポーツ施設の整備を行うこととしております。また、道立オホーツク公園内に、クロスカントリーコースが整備されることになっておりまして、誘致に大きく影響するものと考えております。
なお昨年は、市営陸上競技場が2016年のリオデジャネイロ・オリンピックまでの期間「JOC認定競技別強化センター」に認定されたという、これまでの長年にわたる先輩のスポーツ合宿に対する努力や苦労の積み重ねが実り、大変うれしい出来ごとがありましたが、次の東京オリンピックでも認定されるよう、働きかけを続けていかなければならないと考えております。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、組織委員会の中に合宿担当セクションが設けられる予定と聞いておりますので、日本陸連にも協力をお願いするなど、今まで培ってきた施設整備をはじめ、あらゆる人脈も生かして、情報収集を行い、積極的に誘致活動を展開していきたいと考えております。